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[高騰打破]発酵鶏ふんに脚光 含有肥料、価格抑え好評 養鶏と連携拡大

[高騰打破]発酵鶏ふんに脚光 含有肥料、価格抑え好評 養鶏と連携拡大

化学肥料が高騰する中、少しでもコストを減らそうと、発酵鶏ふんや、鶏ふんを使った肥料の利用が広まっている。養鶏業者と耕種農家の連携が拡大する他、JAなどが販売する鶏ふん入りの肥料も好調。水稲や野菜などで利用が進む。需要増に加えて、鳥インフルエンザ多発もあり、一部では鶏ふんの不足感を指摘する声も出ている。

 新潟県関川村では、発酵鶏ふんを水稲栽培に活用する動きが広がる。地元の岩村養鶏が鶏ふんを発酵させ、水田散布まで担う。今春は村内で前年の2・5倍となる500ヘクタールに発酵鶏ふんをまく。

 発酵鶏ふんを利用する(有)上野新農業センターは、2022年産で、秋と春に計4割の化成肥料を置き換えても収量が同等と確認した。リン酸、カリウム補給のため、秋の稲刈り後すぐに10アール250~300キロの発酵鶏ふんを投入する。3年ほど毎年、化成肥料を同40キロから30キロに減らしても収量は落ちず、22年産は春にも同100キロを散布。化成肥料はさらに同5キロ減らした。

散布委託で省力化も

 初期生育が緩やかで未熟粒の懸念もあるが、23年産は43ヘクタール全面で秋と春に散布する。散布委託料を含めると、化成肥料の代金と同程度とみる。同社の大島毅彦社長は「散布が委託でき省力のメリットは大きい。化成肥料の一層の高騰や手に入らなくなることへの不安も減る」と話す。

 JA全農ひろしまは、23年産向けから、県内の鶏ふんを約15%配合した水稲用一発肥料「エコケッコー」の販売を始めた。価格は100%化学肥料の一般的な水稲用一発肥料より、2割程度安い。

 早生用、中生用の2種類を用意し、面積換算で約650ヘクタール分になる、160トンの予約注文があった。全農ひろしまは「化学肥料が高騰する中、需要の大きさを感じている」(肥料農薬課)と話す。

 JA広島中央管内では、約400戸が同商品を予約注文し、一発肥料全体の約15%を占めた。同JAは、22年産で従来品と同等の肥効を実証し、普及につなげた。

 九州のJA関係者も、鶏ふん堆肥の利用増を指摘する。野菜や茶での活用が想定されるという。

 一部では鶏ふんに不足感も出ている。東海地方で発酵鶏ふんを販売する大規模養鶏業者は「JAや肥料卸から問い合わせが相次いでいる」。春は需要期で毎年売り切れるが、例年以上に早く在庫がなくなる見込みという。

 別の堆肥流通業者は「品質の良い鶏ふん堆肥は不足感がある」とする。鳥インフルエンザの多発による鶏ふんの発生量減少も影響しているとみる。

発酵鶏ふんの状態を確認する大島社長(左)と養鶏業者(新潟県関川村で)


発酵鶏ふんの状態を確認する大島社長(左)と養鶏業者(新潟県関川村で)

引用:https://www.agrinews.co.jp/news/index/142914

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