「水稲中干し」対象に追加 国の温室ガス削減認証 7日以上延長が条件
農水省は1日、温室効果ガスの排出削減量を国が認証する「J―クレジット制度」で、水稲栽培での中干しを延ばす取り組みを追加すると発表した。今年産の作付け分から、中干し期間を7日間以上延長した場合を対象とする。たん水時に土壌から多く発生するメタンの排出量を減らす取り組みを評価し、農家の新たな収入源にしたい考えだ。 同制度は、事業者の温室効果ガス削減量を「クレジット」として認証する。クレジットは他の事業者に販売できる。価格は購入先の企業との交渉で決まる。
メタンは、二酸化炭素(CO2)の25倍の温室効果がある。同省によると、稲作が国内のメタン排出量の約4割を占める。田に水を張り、土壌中の酸素が少ない状態で微生物が有機物を分解すると、メタンの発生量が増える。
そこで、直近2年以上の中干し期間の平均と比べ、7日間以上延長することを条件に、削減量の認証を受けられるようにする。同省によると、7日延長すると、メタンの発生量が3割減らせる。ただ、中干しの延長により収量が減る恐れもある。同省は「地域の実情に応じて取り入れてほしい」(農業環境対策課)とする。
認証には、中干し日数などの記録が必要。記録がない農家は、今後2年間記録を集めた後、3年目から参画できる。
制度の活用にはまず、JAや法人らが、削減計画などを国に申請し、登録を受ける必要がある。削減量の認証には、複数農家の生産記録をJAや自治体などがまとめて算定・申請する方法と、大規模法人などが自ら算定し申請する方法がある。
ただ、同制度では、バイオ炭の農地施用なども農業分野での対象だが、登録件数は2件にとどまるなど、活用は進んでいない。同省は「中干しの延長は、資材の購入などにかかる手間やコストがなく、他よりも取り組みやすい」(地球環境対策室)として活用を呼びかける。

引用:https://www.agrinews.co.jp/news/index/140377