2023年3月15日
[高騰打破]おから飼料実用化へ 鳥取・大山乳業農協
鳥取県の大山乳業農協は、飼料高騰対策として、おからを飼料化して農家へ供給する仕組みづくりに着手した。豆乳を製造する地元企業などと協力。実証試験を通してギ酸で腐敗を抑える方法などを編み出した。さらに試験を続け、来年3月までの実用化を目指す。
同農協は県内の酪農家101戸で構成。飼料高騰が経営に大きな影響を与えていることから、エコフィード(食品残さから製造する飼料)による持続可能な飼料生産システムの構築を目指す。
連携するのは、豆乳を製造・販売し年間7000トンのおからを排出し、処理に苦慮している地元企業。2022年3月、県や同企業と共同プロジェクトを立ち上げ、4月から実証試験を始めた。
実証試験では当初、おからの水分が多く腐敗しやすい弱点を補うため乳酸菌を添加。ただ、おからが冷めてから加えるため、その間に腐敗する可能性もあった。そこでサイレージの2次発酵防止に使われるギ酸を活用。添加量を調整して適正なpHとし、腐敗を防ぐ効果があると確かめた。
おからは過剰に与えると乳脂肪や乳量に影響する。これまで総量40トン以上のおからを実証に使い適切な量は1日1頭当たり4キロから6キロ程度と割り出した。県畜産試験場とモデル農家が22年11月から1年程度、給与試験に協力。嗜好(しこう)性も検証している。
同農協酪農指導部の今吉正登次長は「エコフィード活用で飼料費軽減につながる。酪農家のニーズに応じたサポート体制を強化したい」と意気込む。(鳥取)

飼料化したおからを混合飼料に加える作業(鳥取県琴浦町で=大山乳業農協提供)
引用:https://www.agrinews.co.jp/news/index/142255