Philippine Department of Agriculture – Tokyo
対米牛肉、今年も高関税へ 低率枠7割消化、ブラジル産が席巻

対米牛肉、今年も高関税へ 低率枠7割消化、ブラジル産が席巻

米国が設ける、2023年の牛肉の低関税輸入枠の7割が消化されたことが、8日までに分かった。ブラジル産などの輸入が増えたため。残り3割の枠が埋まれば、日本が米国に輸出する牛肉にかかる関税が大幅に引き上がる。22年も3月中に枠が埋まり、日本の牛肉輸出に逆風となった。日本政府は牛肉の低関税での輸出増を米国に働きかけているが、実現は見通せない状況だ。

 米国は、日本を含む複数国の牛肉を対象に年間6万5005トンまで低関税で輸入する枠を設ける。米国政府が6日公表した資料によると、1月からの2カ月余りで既に枠全体の71%に当たる4万5833トンが輸入された。

 内訳は公表されていないが、ブラジル産の輸入増が続いているとみられる。農水省は「(今年も)昨年と同様のペース。枠が早期に埋まることは確実」(食肉鶏卵課)とみる。

 枠内は従量税で1キロ当たり4・4セント(6円程度)と低関税だが、枠を超えると、関税は従価税で26・4%まで引き上がる。

 日本は日米貿易協定の交渉で、米国側の牛肉輸入枠の増加などと引き換えに、米などを除き環太平洋連携協定(TPP)並みの農業の市場開放を受け入れた。同省は、低関税での輸出が増えるよう米通商代表部(USTR)などと交渉しているものの、実現は容易ではないとの見方が強い。

 米国は、オーストラリアやニュージーランドなどには国別の牛肉の輸入枠を設けている。国別枠のない日本やブラジル、アイルランドなどが同じ低関税枠を利用している。

 ブラジル産は、干ばつの影響で生産が落ち込むオーストラリア産の代替として、22年以降輸入量が急増している。主力の中国向けが牛海綿状脳症(BSE)発生で一時輸出できず、その分が米国向けに回ったことも影響しているという。

 日本の22年の米国向け輸出量は、前年比9%減の1073トンだった。枠超過後の5~11月は前年同月比で減少する状況が続いた。23年は、1月が同113%増の176トン。業者は枠が早期に満杯となることを見据え、保存の利く冷凍での輸出を増やすなどしているという。

引用:https://www.agrinews.co.jp/news/index/141973

[wps_visitor_counter]