国産転換や有機後押し 農水予算22都府県で増 23年度案
日本農業新聞は2023年度の都道府県農林水産予算案を調査・集計した。農業関係事業では、ウクライナ危機を踏まえ、肥料や飼料での国内資源活用や海外依存する穀物の増産といった“国産転換”を支援する事業が目立つ。環境配慮への関心が高まる中、有機農業を推進する事業も多い。農林水産予算を前年度比で増やしたのは22都府県だった。
ウクライナ危機で、輸入穀物は価格が不安定となっており、調達不安も増している。飼料や肥料も高騰し、堆肥の活用拡大や飼料の増産、耕畜連携などが課題となっている。
資材関係では、青森県が「化学肥料低減につながる地域資源活用推進事業」(835万円)で、堆肥や稲わら、もみ殻の活用を支援。飼料対策では、ライ麦とトウモロコシの二毛作を実証する。神奈川県は飼料確保推進へ5220万円の事業を設ける。飼料生産やエコフィード(食品残さから製造する飼料)活用を支援する。三重県は耕畜農家の結び付き支援などに1000万円以上を計上した。
熊本県は、麦・大豆生産支援に793万円を計上。試験圃(ほ)設置や実需との話し合いに補助する。
22年度に引き続き、環境に配慮した農業を後押しする事業が多い。特に、国が今後大幅な拡大を目指す有機農業を支援する例が相次いでいる。岐阜県は有機農業取り組み拡大事業(3214万円)の中で、有機農業アドバイザーを新設。有機農産物のマルシェも開く。島根県もアドバイザーを設置し、有機JAS認証取得などの支援体制を強化する。
徳島県は土づくりや天敵を使った防除などの実証を支援。有機農産物の栽培実証や販路拡大を進める事業にも3000万円を措置する。米や茶で有機栽培を推進してきた滋賀県は、野菜にも対象を拡大する。
9道県では、知事選が絡み骨格予算として組んだため、予算総額が抑えられた。農業関係予算が1割超伸びたのは、岩手、東京、神奈川、静岡、大阪、島根、沖縄。大阪府はため池保全・改修費、島根県は飼料高騰対策を計上したことなどで増えた。予算額が減った県のうち、広島、佐賀県などは災害の復旧が進み、事業を縮小した影響があった。

引用:https://www.agrinews.co.jp/news/index/142254