パワーショベルで温州ミカンの土壌改良 静岡県、省力化・資材高対策に

パワーショベルを使った温州ミカン園の土壌改良(静岡市で)
【静岡】県農林技術研究所果樹研究センターは、小型パワーショベルを使った、温州ミカン成木園の省力的な土壌改良法を開発した。パワーショベルのバケットの先端で、堆肥と土壌を混和する。2年に1回、2、3月に行うと、細根の量が大幅に増え、収量も増えた。同センターは化学肥料の吸収力が高まり、生産資材の高騰対策にもなるとみる。
完熟堆肥(バークや牛ふん)を土壌と混ぜると、細根の量が増えることは知られていた。しかし、くわで混ぜるのは重労働で、大面積に行うのは難しい。耕運機は、細根がロータリーにからむため使えなかった。
そこで、かんきつ農家に比較的普及し、なじみのある小型パワーショベルに着目。効果を確認した。
施工は温州ミカン「興津早生」の園地で、2018年3月と20年3月に行った。10アール当たり1、2トンの完熟バーク堆肥を、樹冠より少し外側の土壌表面に筋状に施用。バケットの先端をくわのように使って深さ20~30センチ耕し、土と混ぜ合わせた。施工時間は10アール当たり3、4時間だった。
19年1月に土壌(1辺30センチの立方体)を採取し、細根量を測定した。21年3月には細根量と物理性を測った。この結果、無処理区に比べて土壌改良区は3相分布の気相が増え、ふかふかした柔らかな土になった。
土壌改良区の細根量は19年に約2倍、21年には約3倍に増えた。「土壌改良効果は1年間、維持できるので、1年置きに施工すれば良い」と結論付けた。

土壌改良区の1樹当たりの収量は4年間の累計で無処理区に比べて28%多かった。葉の養分分析では、施工1年後の窒素含有量が無処理区より多かった。「細根が増え、同じ量を施肥しても吸収が増えているのかもしれない。施肥量を減らせる可能性がある」と話す。
引用:https://www.agrinews.co.jp/farming/index/138754