Philippine Department of Agriculture – Tokyo
和牛輸出で稼げ 現地に法人、販路開拓 高級店と取引も

和牛輸出で稼げ 現地に法人、販路開拓 高級店と取引も

世界的に和牛人気が高まる中、和牛農家の間で、輸出を経営の柱に据える動きが出ている。海外に現地法人を立ち上げて自ら販路開拓に乗り出したり、“大統領御用達”の高級レストランと取引したり──。あの手この手で海外市場をつかみ取る先進的な和牛農家の取り組みを追った。(北坂公紀)

 日本三大和牛の一つ「近江牛」の繁殖・肥育一貫経営を手がける岡喜グループ(滋賀県竜王町)は、年間出荷頭数の3分の1を輸出に仕向ける。主力のタイでは首都バンコクにグループ会社を設立し自ら販路を開拓した。

 タイに会社を設立したのは2018年。社名は「オカキインターナショナル」。日本人の営業マン2人が中心となり、現地の飲食店に売り込む。主に15の取引先に牛肉を卸す。

 同社設立者で岡喜グループのオカキブラザーズフーズの代表を務める岡山和弘さん(49)は「書類手続きなど手間はかかるが、商社を通さず直接輸出してマージンを抑えれば、価格で差別化できると考えた」と話す。

 オカキインターナショナルは現地で和牛レストランも経営する。和牛の輸出では、高級部位に需要が集中し、その他の部位の販路確保が課題となる。同社はこうした部位を自社レストランで活用し、輸出事業の採算性を高めている。

 同グループは現在、繁殖雌牛100頭、肥育牛650頭を飼養。タイには月3頭のペースで1頭丸ごと輸出する。タイでの年間売上高は、1億円を超えるという。岡山さんは「人口減少などで国内市場がしぼむ中、今後は輸出事業がますます重要となる」と言い切る。

 一方、海外の高級レストランと取引するのは、ブランド和牛「神戸ビーフ」を生産する兵庫県丹波篠山市の兵庫田中畜産だ。

 取引先は、フィリピンの首都マニラにあるレストラン「Wagyu Studio(和牛スタジオ)」。経営者はフィリピン人で、客層は富裕層や政治家、芸能人ら。マルコス大統領も常連で兵庫田中畜産の牛肉を味わっているという。

 兵庫田中畜産は、去勢肥育牛を中心に約250頭を飼養し、年80~100頭を出荷する。同店と取引するのはロインとヒレの部位が中心で、取引量は年40~50頭分に上る。田中久工社長は「輸出の魅力の一つは取引単価の高さだ」と話す。

 22年の牛肉の輸出額は520億円で前年比4%減だったが、この10年では約9倍に増えている。政府が掲げる30年の農林水産物・食品の輸出額5兆円目標の中で、牛肉は3600億円と農畜産物の中で最も大きい。

引用:https://www.agrinews.co.jp/news/index/135050

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