輸出伸び率 柿、梨、イチゴ…果実が席巻 独自性強みに 22年、本紙まとめ

鶏卵、米も拡大傾向
日本農業新聞は、農水省公表の2022年の農産物輸出統計を基に、前年からの増加率が高い品目をランキングとしてまとめた。トップの柿をはじめ上位10位の半数を果実が占めた。鶏卵や米も拡大傾向だ。日本産ならではの良食味・高品質を強みにして、輸出先国のニーズに合致した品目で勢いが出ている。
農水省が公表する輸出統計から22年実績が1億円以上の主要な農産物を対象に増加率をまとめた。輸出金額の大きさだけでは見えない伸びしろを探る。
トップは柿で増加率は50%。前年の作柄低下の反動で増加率が大きいが、5年前比でも1・9倍と拡大基調だ。主要輸出先のタイなどでは硬めの果肉を好む消費者ニーズに合致。産地の干し柿輸出の取り組みも活発だ。
2位は鶏卵で42%増。輸出の9割を占める香港では、家庭用・業務用ともに需要が拡大し「日本産の卵使用を売りにした飲食店も増えている」(香港の流通関係者)。今後は国内の鳥インフルエンザ多発で懸念される供給の安定が課題だ。
世界的な需給情勢や円安で、日本産のニーズが高まった面もある。5位の牛乳・乳製品では、国内の在庫解消へ脱脂粉乳の輸出が増えたが、主産国の減産で世界的な乳製品需給が逼迫(ひっぱく)傾向で他国産との価格差が縮まったことも背景にある。8位の米は、日本食人気や日本食チェーン店の出店に加え、22年は米国カリフォルニア産の高騰による価格差縮小で、欧米からの引き合いが強まった。
輸出増加が目立つのは果実で、梨、イチゴ、桃、メロン、栗も上位10位に入る。5年前と比べてもイチゴは約3倍、桃、ブドウ、かんきつは約2倍と大きく増加。22年は果実全般に作柄が良く供給量が確保できたことや、梨や桃は、需要期の9月の中秋節で引き合いが高かった。
特に、他国産と差別化できる良食味品種は人気で、今後も拡大が見込まれる。ブドウは、香港、台湾向けの「シャインマスカット」が大半で食味の良さから富裕層に人気が続いている。かんきつは、主力の温州ミカンだけでなく中晩かんが増加傾向だ。良食味で果肉が硬い栃木県産イチゴ「とちあいか」も有望だ。
原発事故を受けて福島、茨城、栃木など5県産の輸入停止を行っていた台湾が昨年2月に規制を緩和。今後、これらの県で生産量が多いイチゴやサツマイモ、メロンなどの輸出増加が見込める。
引用:https://www.agrinews.co.jp/news/index/135640