2023年2月10日
さらば皮の苦味・硬さ――レモン丸ごとおいしく 真空包装機で減圧 広島県が開発
広島県食品工業技術センターは、特産のレモンを、生のまま皮ごとおいしく食べられるようにする加工技術を開発した。真空パックで果皮に水分を含ませることで、苦味と硬さを解消した。捨てられていた果皮を活用し、新たな食材として提案。皮付きレモンの用途を増やし、安全・安心な県産レモンの価値を一層高める。
同県の「広島レモン」は全国一の生産量を誇る。防腐剤やワックスを使わず、皮ごと食べられる安全性が市場から高く評価される。
ただ、果皮は苦く、硬く食感も悪いため、ジャムなどに加工しないと食べにくい。生のレモンを皮ごと食べる人は少ない。生でも食べやすく加工することで、皮付きレモンの食材としての活用の幅を広げようと、研究に取り組んだ。
果皮と果肉の水分量を近づけることで、苦味を感じにくくなり、食感も良くなることを確認。レモンと液体をビニール袋に入れ、真空包装機で減圧し、果皮に水分を含ませる技術を開発した。
減圧する時間を変えたり、液体に軟化を促す酵素を入れたりすることで苦味と硬さを調整できる。2022年6月に特許を取得。レモン以外のかんきつにも応用可能だ。
同センターは「菓子やパンのトッピングだけでなく、サラダやパスタの具材にもなる。スーパーで処理済みの皮付きレモンを販売できる」と提案する。
減圧に使う真空包装機は、食品加工会社なら一般的に備えている。新商品の開発へ、県内の食品メーカーや6次産業化を目指す生産者らが関心を示す。JA広島果実連は「レモンの新たな需要をつくり、消費拡大につながってほしい」と期待する。
引用:https://www.agrinews.co.jp/economy/index/135891