Philippine Department of Agriculture – Tokyo
小麦高騰で進む「お米」シフト 価格安定で家計の救世主

小麦高騰で進む「お米」シフト 価格安定で家計の救世主

世界的な小麦価格高騰などを受けて食品の価格が軒並み値上がりする中、安値が続く米に注目が集まっている。定額で食品を提供する企業では、新米の予約量が前年から1・5倍超と急増。大手スーパーでは電子レンジで手軽に調理できる「パックご飯」も備蓄目的などから約1・4倍に伸びている。飽きずに楽しめる炊き込みご飯の素など関連商品の投入も増え、「コメ離れに歯止めをかけられるチャンス」と業界の期待が高まっている。

7割「食べる機会増えた」

ロシアによるウクライナ侵攻に加え、主要生産国の米国やカナダでの不作を背景に小麦価格の高騰が進んでいる。

農林水産省は今年4月から半年間の輸入小麦について、政府から製粉会社に売り渡す価格を令和3年10月期から17・3%引き上げ、1トン7万2530円とした。売り渡し価格が変動相場制となった平成19年4月期以降で過去2番目の高値。今年10月からの価格は据え置かれたが、円安などもあり食品の値上げラッシュは止まる気配を見せない。

民間調査会社の帝国データバンクが9月に公表した調査では、上場する飲食料品メーカー105社における8月末時点の年内値上げ計画(実施済みを含む)は累計2万56品目。このうち10月の実施は6500品目を超え、年内最多だった8月の2・5倍に上った。

こうした中、安値を維持しているのが米だ。農水省が発表した令和4年8月の米相対取引価格は60キロ当たり1万2714円と前月から121円上昇したが、2年同月からは約2割下落している。長期間にわたる日本人の食生活の変化や、新型コロナウイルス禍による外食市場の縮小も響いた。

一方で、広がりを見せた内食ではパスタやピザといった小麦食品の利用が増え、米の消費は思うように伸びていなかったが、安値を受けて主食を米に切り替える人も出始めている。

食品宅配の定額サービスを提供するオイシックス・ラ・大地では、4年度産新米の6~8月までの同社会員1人当たりの平均予約量が40・26キロと、前年同期比で1・53倍に伸長。同社の食品宅配を利用している全国20~59歳の男女313人を調査したところ、71・2%が今年4月以降に「お米を食べる機会が増えた」と回答し、「食べる機会が減った」の10・5%を大幅に上回った。

また同社は今春、炊き込みご飯の素などを強化。「簡単にアレンジして作れるものを提案することで、毎日の米食をマンネリ化させない」のが狙いで、この1年間で約20点の新商品を投入した。

背景に家計の防衛意識

背景にあるのは、家計の防衛意識の高まりだ。

ソニー生命保険が18~69歳の男女(一人暮らしの未婚者、または既婚者)千人を対象にアンケートを取った「家計防衛に関する調査2022」によると、最近、値上がりを実感したものの最多が食品で63・8%だった。自身の家計に打撃を与えたものとしても食品が49・5%と最も高い割合を示した。

さらに家計を防衛したいと思うかとの問いに「非常にあてはまる」が47%、「どちらかといえばあてはまる」が41・9%で、9割近い人に家計の防衛意識が高まり、収入増が難しい中、家計で最も注力したいことが「節約」であることも明らかとなった。

こうした中、お米に関連した商品の投入は他社でも広がっている。

調理加工品でご飯に合う商品を強化しているのは日本ハム。野菜を加えて炒めるだけで調理できるチルド中華総菜シリーズでは、米と同様に価格が安定しているシメジやエリンギなどキノコ類を使ってできる商品を8月に売り出したほか、新米が出回る8月後半から9月にかけてスーパーで米などが抽選で当たるキャンペーンも展開。「小麦の値上がりを受け、取引先のスーパーから米と合わせた売り場の提案を強化したいとの要望が増えている」(広報担当者)という。

うどんチェーン「丸亀製麺」を展開するトリドールホールディングスも、香港で人気の米粉めん業態「譚仔三哥米線(タムジャイサムゴーミーシェン)」の日本1号店を3月に東京・新宿にオープン。東京を中心に6年3月までに25店舗に拡大する計画だ。

パックご飯好調、袋入り低調

ただ、小麦高騰が米消費を加速させるとの見方には慎重な意見もある。

スーパー大手のライフコーポレーションでは「パックご飯」の売れ行きが好調。近畿圏の店舗では7~8月に前年同期比で約1・4倍を売り上げた。ただ、「5キロや10キロで袋入りされた米の販売は必ずしも伸びておらず、むしろ前年割れしている」(担当者)といい、「パックご飯は電子レンジで温めるだけで食べられるという調理の手軽さや、常温で長期保存できることから、新型コロナ禍における内食需要を取り込めた」とみる。

国民1人の1年当たりの米の消費量は、昭和37年度の118・3キロをピークに減少傾向が続いており、人口減や食の欧米化などから令和3年度は51・5キロと半分以下に落ち込んでいる。

米卸売業者の団体は「米食シフトに期待はしているが、その流れをつくるには、安さだけでなく人々の生活スタイルに合った商品が欠かせない。ご飯を中心とした食事が健康面でもよいことや、地産地消によるサステナビリティー(持続可能性)の観点からもメリットが多いことを知ってもらいたい」としている。(田村慶子)

引用:https://www.sankei.com/article/20221015-ICFHRGMGB5JX7KR65AJSXEVS6M/

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